サスライシェフ、イタリアを喰らう!!!
イタリアで料理人として働いた13年。。。新天地を故郷鹿児島に移し夢を現実とする為に奮闘する毎日を綴ったブログっ!!
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Posted by sasuraichef | --:-- | Comment [0] | TrackBack [0] | スポンサー広告
鹿児島のスローフードを楽しむ(あくまき編)
すっかりGWも終わってしまいましたが、ここ数日はバタバタと動いておりましてUPが遅くなりました。
さて、味噌作りに続き、端午の節句にあわせて作られる鹿児島の郷土菓子「あくまき(灰汁巻き)」作りを手伝いました。 これまたバーちゃん時代からサスライ家でも作り続けておりましたが、これもこの時期しか作られない季節菓子の為、もう20年ほど作ることに参加しておりませんでしたので、また初心に戻り勉強をかねて手伝いました。
さて鹿児島と南九州の一部だけで作られる「あくまき」。
さっぱりなんのことか分からない方もいらっしゃるようですが簡単に説明しますと、古くは薩摩藩が関が原の戦いに出陣した時代から、そして有名なところでは西郷隆盛が西南戦争の際に、保存食の1つとして戦場に持ち込んだ竹の皮にもち米を包みこみ、灰汁の中でゆっくりと火を入れた、もちのような(なんとも言えない)食感のお菓子なのです。これをきなこと黒砂糖などを混ぜたものにまぶして食べます。
長時間煮ることによる滅菌や灰汁の中に含まれた木の成分による抗菌、そして灰汁のアルカリ性の特製を生かした雑菌繁殖の抑制、そして竹の皮による抗菌と戦場に持っていくには最高の保存食として作られたのです。
それでは作り方を。。。
まずは灰汁を作ります。
実家はタキモノでお風呂を沸かすので、自然と灰が取れます(笑)
この灰を一年分貯めておいてあくまき用に使うのです。
この灰をザルと布の上に乗せ、ゆっくりとお湯をかけ入れます。ここで大切なことをゆっくりとお湯が灰の中に浸透し、ゆっくりと抽出されること。コーヒーのドリップと同じ感じでしょか。
すると結構茶黒い灰汁がでてきます。
それを冷まし洗ったもち米を8時間ほど浸します。
その後はすでに、数日間水につけて柔らかくしておいた竹の皮に包みます。
竹の皮は一年前のこの時期に竹林に行ってとってくるのですが、この時期しかありませんし、それを一年間保存しておくということです。
この竹の皮に包む作業が非常に難しく、もち米の量はさることながらそのもち米を包む時に「ゆとり」を持たせる感覚が非常に難しいのです。
ゆとりがないと茹でている途中でもち米が膨れてくる為、竹の皮が破れてしまったりあくまきも固くなったり、ゆるすぎると隙間ができてしまうのです。
包んだ後はこれまた竹の皮を細く割いたものを紐の代わりにして閉じます。
後はゆっくりと火を入れていくわけですが、実家では味噌作りでも使った練炭ををそのまま使う為、一晩かけてゆっくりと火を入れます。この作業もまた難しく、火力が足りないともち米が澱粉の餅化を起こさなかったり、灰汁のアルカリ成分が足りないと、ボソボソした食感になったりするのです。
一晩かけて火を入れた「あくまき」がこちらっ!!
水分が多い為、プルプルした食感です。
冷ました後切りますが、包丁だと柔らかすぎて切りにくいので竹の皮の紐や糸紐で切り、黒砂糖やきなこなどをまぶして食べます。
甘党のサスライ家では、これを食べないとGWはこないっ!!っていうぐらいに必ずこの時期に食べます。
そして体重計と格闘しなければならないのです(汗っ)
長い歴史と文化が詰ったあくまきは、竹の皮拾いから始めるとまさに一年という期間を要しており、手間ひまかかったものです。
まさに鹿児島の生んだスローフードの原点っ!!
今回味噌作りとあくまき作りに参加したのですが、やはり郷土料理を次世代に伝えていくという大切さは食材を実際手で触り香りや味を感じることはもちろんのこと、作りながら人と人とのコミュニケーションがあるわけで、現代のめまぐるしい流れの時代には忘れかけてしまっている大切なものを感じれる場であり、味なのだと思います。
GWの時期(端午の節句)にしかない鹿児島の郷土菓子。
県外の皆様、来年のGWはぜひ鹿児島へ「あくまき」を食べにきてくださいね。
ふんわっっふっふっ!!(サザエさん風に)
Posted by sasuraichef | 12:09 | Comment [7] | TrackBack [0] | なんでも挑戦っ!!
やっと鹿児島に戻ってきたのに灰汁巻きつくってないや・・・・
前々から準備してないと結構面倒なんですよね・・・・
今年は竹皮拾いに行こう・・・
ちなみにうちのはちょっと米が残ってる感じがわかるくらいの仕上がりなんですが、
親戚の家だと蕨もちみたいにきれいに透き通るまで煮てあるので昔は交換して両方味わってました
Commented by bobv [URL] | 05/11 19:48| edit
bobvさん
竹拾いは今の時期でよく乾燥させないといけないですね。私は米が残っているタイプより、透き通った感じの仕上がりが好きです^^ 交換すると2度味わえるわけですね。。。なるほど。。。
まずは作ってる人を探さないとです(汗)
Commented by サスライシェフ [URL] | 05/11 21:29| edit
同じ日本でも、「文化」ってぜんぜん違うんですね・・・
『端午の節句』は(市販品の)柏餅を食べるものだと思ってました^^
お味噌が家で作れるコトも知りませんでした^^;
160kgは1年、何家族分???
それを保管しておく場所があることにビックリです!
Commented by Perla [URL] | 05/12 07:40| edit
perlaさん
小さな国ですけど、地域によって地方色が強い場所もあったりするんですよね~。
ちなみにこの味噌作りをした場所は実家のすぐ裏にある築90年以上の古いバーちゃんの家。今では弟が住んでいるのですが、すでに傾いている家(笑)では部屋の中に置いているバランスボールがこの時期だけ、逆方向に転がります(爆) かなりの重さですよね(汗)
ちなみに作った直後にすぐに配分しますので、家に保管しているのは自分達の家族で作る分だけです。
全部保管しておくと、確実に味噌の重みでいってしまいそうです。
Commented by サスライシェフ [URL] | 05/12 09:05| edit
昨夜、会社の飲み会でちょうど灰汁巻きの話が出ました。
関東出身の営業マンが『鹿児島人は灰の入ったお菓子を食べる!!』と驚愕していたので『さすがに灰は食べないよ~~』と言ってしまったのですが、灰を濾したものにもち米を漬けるんですね・・
詳しい作り方を初めて知りました♪
よそでは端午の節句に『灰汁巻き』を食べないと知ったのは大学3年の頃。。。
Commented by shige [URL] | 05/14 22:39| edit
shigeさん
ほんとどうやって誕生したんでしょうね。灰汁に漬けるって行為はなにかの間違いでもち米が灰汁に入り偶然誕生したとは考えられにくいですし。。。
なぞがなぞをよびます。あ~来年が待ち遠しい(笑)
Commented by サスライシェフ [URL] | 05/15 17:26| edit
毎年鹿児島の友人から灰汁巻が送られてきます。もっちりとしてその食感が何とも言えず好きです
島津藩武士たちが食べていた物と聞き、昔の人の知恵のすごさを感じます。科学がそれほど解明されていない
時代に腐らない、アルカリ食品、身体に良い、優れた知識は鹿児島県人の物を生み出して行く智恵の深さをこの一品を見ても解るような気がいたします。熟成した餅米と粘りの強さはまさに薩摩の偉人を彷彿とさせます。
毎年の灰汁巻が楽しみです。いつも島津藩のお殿様とその暮らしを想像します。