サスライシェフ、イタリアを喰らう!!!

イタリアで料理人として働いた13年。。。新天地を故郷鹿児島に移し夢を現実とする為に奮闘する毎日を綴ったブログっ!!

-- --

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Posted by sasuraichef | --:-- | Comment [0] | TrackBack [0] | スポンサー広告

«prev | home | next»

03 2010

スペインに喰らわれるっ!!闘牛編


チケットを見せ長い廊下を歩いて数段の階段を上がると目の前に現代の「コロッセオ」が広がる。

     IMGP1693.jpg     IMGP1696.jpg


係員が席まで誘導してくれると、開演一時間前だというのにSol Y Sombra(時間により日向から日陰になる席)はすでに日陰っ!! ラッキーっ!!

席に着きじっくりと今から儀式の行われる会場を見渡す。

     IMGP1697.jpg     IMGP1698.jpg


Sol(日向)の場所、2階席ぐらいに6人ほどの日本人を発見っ!!
開演一時間前だというのに、サンサンと照りつける太陽の下、日傘やらタオルを顔中に巻いてる(笑)
Solということは闘牛の終わる21時ごろまでずっと日向ということになる。

ちょっと大丈夫かなと思って見ていたら、開演15分前ぐらいにどこかへ逃げていた(爆)

19時のスペインの太陽の日差しを甘く見てはいけませんっ!!日本では考えられないけど、めっちゃ暑いです。

     IMG_8758.jpg     IMGP1702.jpg
      一人で砂被りに座っている謎の情熱的スペイン女性に気をとられる官能シェフ(笑)


会場の時計が19時を指したと同時に乾いたトランペットの音が闘牛場へ鳴り響く。。。

     IMGP1710.jpg     IMGP1708.jpg


と同時にアルグアシリージョス(2頭の馬と騎士)が入場。

そして正面(日陰)から見て左側の門が開き、闘牛士達が並んで入場してくる。厳粛な入場行進は闘牛が単なる見せ物ではなく神聖な儀式であることをうかがわせる。

     IMGP1713.jpg     IMGP1716.jpg

そして日陰の席の最上段には祭りの主催者がおり、その人達へ挨拶。
ちなみに日陰の席には闘牛士達のスポンサーや高額のチケットを買うことのできる紳士方が陣取っており、大抵そこに近い場所で戦いが行われるという。

入場行進が終わると闘牛士たちは自分のピンクのカポーテ(マント)を手にとり広げ動きを確認する。


     IMGP1719.jpg     IMGP1720.jpg


ゆっくりとカポーテの裾が地面を舐めるように動く姿を見ているといよいよ闘牛がはじまるという空気が伝わってくる。


ここで闘牛の進行を簡単に説明しよう。

闘牛は3人の闘牛士(マタドール)が各2頭の牡牛を相手に交代で戦うものである。
だから1回の闘牛では6頭の牡牛が登場することになる。

各マタドールの配下に2人のピカドール(槍方)と3人のバンデリジェロ(銛撃ち)がいる。

ピカドール(槍方)とは目隠しした馬(馬が脅える為)に乗ったちょっと小太りのおじさん。
人間の想像を遥かに上回る牡牛の体力を奪う為に、馬の上から牡牛の首筋を槍で突いて出血させ、体力とスピードを減じ、牡牛の首を下げさせる役目をする。

バンデリジェロ(銛撃ち)とはピカドールの槍で傷つき牡牛の動きが鈍くなっているのを、もう一度背に1対ずつ3組の銛を打ち、新たな刺激を与える。
牛の真正面から銛を両手に持ち、牡牛に向かいながら背中に銛を打つのはまさに、モハメッド・アリのよう。

「蝶のように舞い、蜂のように刺す」

って感じ。。。

一頭の牡牛は「牡牛の出」「ピカドールの場」「バンデリジェロの場」そしてマタドールが登場して最後の「死の舞踊、真実の瞬間」という進行を経て幕を閉じる。

これを1度の闘牛で6回見ることができるわけ。。。




トランペットが鳴り響き、会場の中心に立て札をもった人が現れる。

牛の名前、体重、年齢、どこの牧場からきたかなどの情報が記載されている。
すべて520~580KGの牛。想像もつかない。。。

     IMGP1721.jpg     IMGP1727.jpg



その人が退場すると、奥の扉が開くっ!!


真っ暗な通路から飛び出してくる牡牛っ!!

と同時に観客席からもれる驚きの声。。。
闘牛用に特別に飼育された牡牛は雄々しく、筋肉の塊という感じ。
尖った角は長く左右に伸び、胸板は厚く腹部もしまり、無駄な贅肉はない。

まさにボディービルダーのような体。。。

     IMGP1870.jpg     IMGP1872.jpg


     IMGP1733.jpg     IMGP1737.jpg


一瞬このコロッセオという見慣れない観客に囲まれた風景に驚き立ち止まってしまう牡牛もいるが、ピンクのカポーテをもった闘牛士達がカポーテを煽ぎ場内を走らせる。
牛は「色盲」であるため、ピンクのカポーテや赤い布(ムレータ)の色ではなく、動きに反応して突進してくるのです。
なぜ赤い布を使うとかというのはマタドールや観客、いわゆる人間が興奮する色だからなのです。

カポーテに向かい突進する姿を見て、マタドールはスピード、体力、性癖を解明するとのこと。


ここでピカドール(槍方)が登場します。
ピカドールの乗った馬は目隠しされ、体中を牡牛の角から守る為の鎧でまとっています。

     IMGP1743.jpg     IMGP1807.jpg



ピカドールが徐々に牡牛との距離を詰めていき始めると、牡牛がいきなり馬に向かって全力で突進してきます。

牡牛が馬に体当たりする瞬間、ピカドールの槍が牡牛の背中に刺さります。

     IMGP1881.jpg     IMGP1882.jpg


「ドスっ!!」という鈍い体当たりの音が聞こえます。


牡牛の体当たりは非常に激しく、今回は2回ピカドールは落馬しましたし、そのうち一回は馬も真横に倒れたままピクリとも動かなくなり会場は一瞬騒然となりました。


    IMGP1913.jpg    IMGP1914.jpg


数秒後係りの人間が場内に飛び込み、馬の尻尾を引っ張った瞬間馬はビクッとし立ち上がりましたが、あまりの衝撃に気絶していたのでしょうね。それほど牡牛の体当たりは激しいものなのです。

ピカドールの槍撃ちが決まった後は、牡牛の背中は鮮血で真っ赤に染まります。
そしてトランペットが鳴り響き、ピカドールは退場。。。


そして続いてバンデリジェロ(銛撃ち)の登場です。

銛を両手にもち牡牛と真正面に向きあいます。そして牡牛に向かって走り出し「間一髪」の距離で左右交互に回り込みながら一対の銛を牛の背中に打ち込むのです。


     IMGP1960.jpg     IMGP1754.jpg


マントなんかなく「素」の状態ですからね。
一番危険じゃないかと思うのです。

1対の銛を3回刺すことができますが、失敗して刺さらなかったり、刺さっても抜けて落ちたりすると、観客席からはブーイングが起ります。

失敗したらそのまま。。。

成功すると6本の飾り銛が牡牛の背中に残ることになります。

    IMGP1821.jpg     IMGP1827.jpg



またもや、トランペットが鳴り響く。。。
バンデリジェロ(銛撃ち)の退場。


そしていよいよやってきましたマタドール(闘牛士)の登場。


剣とムレータ(赤い布)を持った闘牛士はまず主催者席の下から牛を殺す許可を請い、それから敬意を表して帽子を捧げます。これは帽子を渡す相手に牛を捧げるという意味らしいです。

     IMGP1755.jpg     IMGP1756.jpg


観客席から拍手が鳴り響くと同時にトランペットも鳴り響く。。。

いよいよ最大限15分のマタドールと牡牛の戦いが始るのである。

いくら背中が鮮血に染まっている牡牛とはいい、目は殺気だち、足を蹴り上げて砂埃を立てる。


     IMGP1759.jpg     IMGP2009.jpg


腰を前に突き出し、ムレータを広げるマタドールの勇ましさ。。。

どんなに牡牛が突進してきても腰はひかない。

紙一重でかわす瞬きも許さない一瞬っ!!



     IMGP1928_20100903065003.jpg     IMGP2005.jpg



時々止まり、牡牛との距離をつめて角の先20~30CMまで近づくマタドール。

牛の目は左右についている為、真正面のわずかな隙間が死角になっているらしい。
牛の角の間、つまり真っ正面に立つことができる闘牛士は素晴らしい闘牛士。下手な闘牛士は斜め前から牛を呼んでしまうらしい。

死角と分かっていても、殺気だち槍の先のように尖った牡牛の角の間に立つことは容易ではない。

マタドールの死か、牡牛の死か。どちらかが神に召されるまで続く。。。



エストカダ(最後の一突き)に入るマタドール。

剣を牡牛に向け、タイミングを計る。

両者の間にある「死を分けた戦い」の張り詰めた空気。。。


     IMGP1780.jpg     IMGP1781.jpg


ここで向かってくる牡牛の背中に剣を一突きするのだが、一回で決まり牛が跪くか倒れたら闘牛士は「牡牛の耳」をもらえる。この耳をもらえるということは闘牛士にとって名誉なこと。
当然素晴らしい闘牛だった場合は、観客が白いハンカチをヒラヒラさせて闘牛士の栄誉を称える。

もし失敗して剣が刺さらなかったり、刺さっても倒れなかったりした場合。。。
その時は観客席からはブーイングの嵐!!

当然一回で決まらなかったら「牡牛の耳」はもらえない。

年に数回しかでないらしいけど、本当に最高の闘牛だった時には「尻尾」がもらえるという。。。

観客のハートを掴み、勇ましい戦いをした闘牛士には最高の名誉っ!!尻尾を取ることがができたマタドールは伝説になるらしい。


     IMGP2037.jpg     IMGP2040.jpg


僕が見た中でも数回は剣が刺さらず失敗したし、マタドールも手から血を流していたりと「生死を分けた戦い」が見れた。

最後は口から血を流し跪いたり倒れているいる牡牛の後頭部の急所にとどめを刺し、全てが終わる。

ただこの瞬間にも一度で決まらなかったり、牛に必要以上に苦痛を与えるものなら観客席からはブーイングが飛ぶ。

  
   IMGP1785.jpg     IMGP1787.jpg


闘牛場で生涯を全うした牡牛は、馬に引きずられ観客席からの惜しみない拍手を受けながら、会場を一周したのち退場する。

この流れを6回、約2時間という時間の中で繰り返される。


     IMGP1792.jpg     IMGP1944.jpg




「生と死を分けた戦い」

闘牛を見てどう思うかは人間一人一人違う意見だと思うが、ただの「殺し合いのショー」として見れば長い伝統と歴史の中で育ってきたスペインの国技を分かることはできないだろう。

闘牛が動物愛護で問題になったりするけど、僕ら日本人も「魚の活作り」を1つの伝統調理法として見る民族であるだけに、その土地土地で出来上がった文化、伝統、歴史を「動物愛護」という一文字で片付けることはできない。(闘牛の牡牛も敬意を払い食されます)魚と動物(いわゆる哺乳類)とは違うという人もいますが(よくイタリア人、特に魚は食べるけどベジタリアンという人と捕鯨のことについての激論するとでてくる問題です。)オーストラリアでは動物愛護という見地から法律で魚の活作りは禁じられています。僕は料理人として、どちらの命もつかわせていただいている。


メニューで鰻を調理することがありますが、生きた鰻を左手で握り釘を右手に持ち頭に刺す瞬間、左手に伝わってくる鰻のエネルギー。
頭に釘を打たれながらも左腕に胴体を絡ませて「グッ」と締め付けてくる力には、全身全霊をかけた「生きる」という生命のエネルギーを感じます。
締め付ける力は半端ではない。
生から死への瞬間、どんな生命でもあってもその瞬間は「生」を願うもの。。。

背中に槍や銛を打たれ出血し、ほとんど意識も朦朧としている牡牛も最後の死の瞬間まで一歩も引く事はない。
動くムレータに無心に突進するも、マタドールの些細なスキをみつけようならば「生きる」という本能でマタドールに襲いかかるであろう。
実際マタドールの剣を刺され跪いた牛が、とどめを刺しにきたマタドールに立ち上がり突進した時もありました。

生きるという執念、生きるという力。

生命の計り知れないエネルギー、そして命の重さ温かさ、そして尊さを毎日の仕事を通じて感じられる僕は、本当に幸せかもしれません。

生命の命を絶つ瞬間、本当に生きているということに感謝しないといけないですね。

今回の闘牛を見て、改めて感じました。





ぜひスペインに行くことがあれば「闘牛」は見ていただきたい!!


スペイン人の歴史・伝統・文化、そして心のとても深いところにある「ドロっ」とした感情を感じるには、闘牛が一番ではなかろうか。。。


     IMG_8973.jpg     IMG_8974.jpg


黒い牡牛と赤いムレータ。

光と影、そして生と死。。。

その色はもう1つのスペインの情熱、フラメンコにも通じる色なのである。


次回は「スペインに喰われるっ!!最終回・情熱のフラメンコ編」です。

お楽しみに~!!


    IMGP2115.jpg

スポンサーサイト

Posted by sasuraichef | 02:08 | Comment [5] | TrackBack [0] | サスライ・股旅・一人旅・・・のち時々二人旅

«prev | home | next»

素晴らしい闘牛の解説でした。今まではどうしても目をそむけたくなる闘牛でしたが、おっしゃる通り文化の違いで日本の生作りも同じでしたね。

光と影、生と死は共同体でもあります。
今度からは真剣にみつめることにしましょう。 ありがとう!

体調も整って実のあるたびを満喫してね。  フラメンコが又たのしみ!

そうそう 若き頃にガットギター弾いていましたね。

Commented by kei-matsu [URL] | 09/03 23:55| edit

>kei-matsuさん

横レスです。

闘牛は、観客(観光客ではない地元、および熱心なファンの)の闘牛士と闘牛に対する敬意がちゃんと感じられるのです。たとえば、説明にもあるように、銛打ちが失敗したらブーイングがでる。ですが、意味もなく、いつまでもブーイングをしているにわかファンの観光客には、逆に静かにしろ!と周りの人がいうんです。野次をただ飛ばしているわけではないんですよね。
自分のブログにも書きますが、グラナダの鹿児島出身のフラメンコダンサーの方が、スペイン人、特にアンダルシア人は一番怖い動物として恐れているのは闘牛だとおっしゃっていました。死ぬまで絶対に後ろに下がらない、それが怖いのだそうです。その闘牛と戦う闘牛士は少年達の憧れなのですよね。そのへんのところは、次回にでてくるフラメンコ同様、その土地に生まれ育ち、感じてきていなければ、頭だけで理解しがたいのかもしれません。。。いずれにしてもこれは娯楽ではなく、もっと深い何かをちゃんと感じられるものだと思います。(そこには、受けて側の文化的背景も必要ですが。。。)



Commented by yossy [URL] | 09/04 07:46| edit

kei-matsuさん

「活作り」は生魚を食べる日本人にとっては、すごく特別なもの。
まず食する人が「新鮮さ」というものを感じるには、皿の上で口をパクパクしている魚の頭を見ることですし、当然熟練した料理人の包丁さばきも必要になります。

海に囲まれた島国の日本は、ともに海と向き合いその海で育まれる幸とともに歴史を作ってきました。 長い歴史と文化、そして伝統を重んじた日本人の魚に対する究極の調理法は、まさに皿の上の「美学」。
闘牛も同じくスペインの歴史・文化・伝統の中で出来上がったもので、それも1つの生と死の「美学」。 そう思うと目をそむけるわけにはいかないですよね。

ガットギター弾いていたkei-matsuさん。。。想像できません^^

Commented by sasuraichef [URL] | 09/04 08:27| edit

冒頭の女の子に見とれるゆるんだ表情が嘘のような、緊迫感あふれる実況中継でした。グッジョブ!!

どこかで見た牛だなあと思ってましたが、アルタミラの洞窟壁画に描かれた牛とそっくりなんですねえ。スペインの闘牛っていつからやってるんだろう?石器時代から脈々と続いて来たんだろうか?
民族そのものに有史以前から刻まれた文化なんだろうかと考えちゃいました。

yossyさんの言う「受けて側の文化的背景」・・・捕鯨問題なんかもそうなんだよなあ。動物愛護という観点から見て正しくても、それを他者に押し付けるのは余計なお世話でしかないんですよ。なぜなら、その観点は一面的、一方的なものでしかないからね。

Commented by 俊寛 [URL] | 09/05 23:29| edit

俊寛さん

> 冒頭の女の子に見とれるゆるんだ表情が嘘のような、緊迫感あふれる実況中継でした。グッジョブ!!

やればできる子なんですっ!!ただやらないだけっ!!(笑)

スペイン国内での行われる「祭り」には必ず「牛」が登場するんですよね。唯一登場しないのは「トマトを投げ合う祭り」だけだそうです。
ちなみに「トマトを投げ合う祭り」を開催する町は、特にトマトが有名って町でもなくて、近郊の町からあの日の為だけに買うらしいです(笑)

俊寛さん、いつか一緒に「牛追い祭り」に参加しませんか????(爆)

Commented by sasuraichef [URL] | 09/05 23:41| edit

Comment:

© FC2 BLOG / ooq:blog

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。